高山本線の未来──経営移管の検討と市民の懸念、富山市の対応/The Future of the Takayama Line — Management Transfer Under Review and Citizen Concerns in Toyama City
高山本線の未来── 経営移管の検討と市民の懸念、富山市の対応 2024 年 1 月、富山市は市民から寄せられた意見に対し、 JR 高山本線(猪谷~富山間)の経営移管に関する検討状況を公式に回答しました。地域交通の持続可能性を巡る議論は、鉄道ファンや地元住民の間でも注目を集めています。 市民の声 ── 「 JR の在来線があること自体に意味がある」 寄せられた意見では、「富山から自ら手を挙げて移管を進める姿勢はやめてほしい」「 JR の在来線が 1 本もない県になることへの危機感」が強く表明されました。 主な論点: JR 在来線の存在は、地域の “ 普通さ ” や “ 誇り ” を支える象徴であり、報道・創作物でも日常風景として描かれる。 子どもたちが「 JR がない地域」で育つことは、潜在的な劣等感や地域離れの遠因になりうる。 「鉄軌道王国」としての富山のブランド力にも影響し、 JR 西日本本社が大阪にあることの意義も踏まえるべき。 独自路線への過度な前のめり姿勢ではなく、 JR との共存を模索すべき。 これに対し富山市は、「移管は決定していない」「市民の意見も踏まえて検討する」と回答。現在は富山県・ JR 西日本・富山地方鉄道との 4 者で「高山本線沿線ブラッシュアップ会議」を設置し、運営形態の選択肢と財政負担の試算を進めている段階です。 高山本線(猪谷~富山間)とは 区間:岐阜駅~富山駅を結ぶ JR 高山本線のうち、猪谷駅~富山駅間(約 36.6km )は JR 西日本の管轄。 位置づけ:富山県内の重要な南北交通軸。 課題:利用者減少( 1 日平均約 2,000 人)、少子高齢化、非電化区間。 検討されている 3 つの運営形態と財政負担(富山市による 10 年間試算) 運営形態 概要 財政負担(推定) 備考 経営移管 JR から第三セクター(例:あいの風とやま鉄道)へ運営主体を移管 中程度 JR の負担軽減。第三セクターは沿線自治体・地元企業が出資するため、自治体の財政負担が実質的に発生。 上下分離 ...